目次* 1. アリゾナ州知事、仮想通貨活用法案に拒否権 + 1.1. 拒否権行使の理由は「リスクの高さ」 + 1.2. ビットコイン準備金法案も拒否* 2. 仮想通貨ATM法案は成立|詐欺被害抑止を強化* 3. 未請求仮想通貨をアリゾナ州が運用へ## アリゾナ州知事、仮想通貨活用法案に拒否権**米アリゾナ州のケイティ・ホッブス知事は2025年5月12日に、仮想通貨(暗号資産)関連の法案2件に対し拒否権を行使**しました。今回拒否権が行使されたのは、上院法案「SB-1024」と「SB-1373」です。SB-1024は、州政府や公共施設などの行政機関が、罰金や税金などの公的支払いを仮想通貨で受け付けることを許可する法案です。一方のSB-1373は、州政府が押収・取得した仮想通貨を管理するための「デジタル資産戦略準備基金」を創設する内容でした。### 拒否権行使の理由は「リスクの高さ」ホッブス知事はSB-1373に関する拒否権行使の書簡で「**仮想通貨市場の現在の価格変動性は、一般基金の資金運用には適していない**」と指摘しています。州の公的資金をこうした変動性の高い資産に充てることのリスクを強調し、慎重な姿勢を明確に示しました。また、SB-1024に関しても、法案の革新的な意図は評価しつつも「依然として財政リスクへの扉を開くことになる」と懸念しています。### ビットコイン準備金法案も拒否ホッブス知事はこれに先立つ5月3日、州がビットコイン(BTC)などの仮想通貨に公的資金の最大10%を投資可能とする「SB-1025」にも拒否権を行使しています。知事はSB-1025を拒否した理由として「仮想通貨は長期的実績が不十分であり、価格変動リスクの高い資産である」と懸念を示しました。**特に退職年金などの重要な公的基金をこうしたリスク資産にさらすべきではないと判断**しています。同様の「ビットコイン準備金」構想は他州でも提案されていますが、これまでに少なくとも9州で拒否または廃案となっています。アリゾナ州は、こうしたビットコイン準備金の創設を阻止した全米で10番目の州となりました。## 仮想通貨ATM法案は成立|詐欺被害抑止を強化一方、仮想通貨ATMに関する詐欺対策法案「HB-2387」には署名し、法案を成立させました。この法案は、仮想通貨ATMに厳格な規制を導入し、詐欺被害の防止を強化する内容となっています。新法のもとでは、仮想通貨ATMの運営事業者に対し具体的に以下のような対策が義務付けられます。* **多言語による詐欺警告表示**:利用者が取引を行う前に、詐欺被害防止のための注意喚起を複数言語で表示する* **取引明細の発行**:送金先のウォレットアドレスやトランザクションハッシュ(取引履歴識別子)を明記したレシートを発行する* **不正送金対策とコンプライアンス強化**:ブロックチェーン分析ツールを活用し、詐欺に利用されたと疑われるウォレット宛ての送金を防止する仕組みを導入。全取引記録をマネーロンダリング防止規定に基づいて保存し、24時間365日対応のカスタマーサポート提供も義務付け* **取引金額の上限設定**:利用者あたりの取引額に日次制限を設け、新規顧客は1日あたり2,000ドル(約29.6万円)、既存顧客でも10,500ドル(約155万円)が上限となるこの法律は、高齢者を狙った仮想通貨詐欺事件の多発を背景に策定されました。米連邦捜査局(FBI)の報告によれば、2023年にアリゾナ州内の仮想通貨詐欺による住民被害総額は約1億2,700万ドル(約1,900億円)に達し、特に60歳以上の高齢者が標的にされやすい状況が続いています。アリゾナ州司法長官のクリス・メイズ氏も「追跡が困難な仮想通貨詐欺が急増している」と警鐘を鳴らしており、今回の新法成立により、消費者保護と詐欺被害抑止が大幅に強化される見通しです。## 未請求仮想通貨をアリゾナ州が運用へホッブス知事は今回の議会会期中に仮想通貨活用案に対して相次いで拒否権を行使しましたが、仮想通貨の適切な管理・規制自体には前向きな姿勢を示しています。知事は5月7日付で下院法案HB-2749に署名し、**州の未請求資産法を改正して仮想通貨を州がそのまま保有・運用できるようにする法律を成立**させています。この新法により、3年間取引のない休眠状態の仮想通貨は「放棄資産」として扱われ、州政府が現金化せずに原資産のまま保管・管理できるようになります。さらに必要に応じて、ステーキングなどの収益運用で活用できるようになります。新たな予算投入なしで既存の仮想通貨資産を有効活用できるため、州財政に追加負担をかけることなく収益を生み出すことが主な狙いです。この法律により、アリゾナ州は未請求の仮想通貨を法的に保持・運用できる全米初の州となりました。これは**ホッブス知事が「低リスク」と判断した仮想通貨活用案には積極的に対応する姿勢**を示しています。ホッブス知事の一連の政策判断は「未検証の仮想通貨に新たな公的資金を投入するリスクは回避しつつ、既存の仮想通貨資産を活用する規制整備には積極的に取り組む」という、バランスの取れた実務的アプローチとして州内外から一定の評価を集めています。※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.06円)>>最新の仮想通貨ニュースはこちらSource:拒否権発動書簡 執筆・翻訳:BITTIMES 編集部 サムネイル:AIによる生成画像
アリゾナ州知事、仮想通貨関連の法案2件を拒否|ATM詐欺対策法案には署名
目次* 1. アリゾナ州知事、仮想通貨活用法案に拒否権 + 1.1. 拒否権行使の理由は「リスクの高さ」 + 1.2. ビットコイン準備金法案も拒否
アリゾナ州知事、仮想通貨活用法案に拒否権
米アリゾナ州のケイティ・ホッブス知事は2025年5月12日に、仮想通貨(暗号資産)関連の法案2件に対し拒否権を行使しました。
今回拒否権が行使されたのは、上院法案「SB-1024」と「SB-1373」です。
SB-1024は、州政府や公共施設などの行政機関が、罰金や税金などの公的支払いを仮想通貨で受け付けることを許可する法案です。一方のSB-1373は、州政府が押収・取得した仮想通貨を管理するための「デジタル資産戦略準備基金」を創設する内容でした。
拒否権行使の理由は「リスクの高さ」
ホッブス知事はSB-1373に関する拒否権行使の書簡で「仮想通貨市場の現在の価格変動性は、一般基金の資金運用には適していない」と指摘しています。州の公的資金をこうした変動性の高い資産に充てることのリスクを強調し、慎重な姿勢を明確に示しました。
また、SB-1024に関しても、法案の革新的な意図は評価しつつも「依然として財政リスクへの扉を開くことになる」と懸念しています。
ビットコイン準備金法案も拒否
ホッブス知事はこれに先立つ5月3日、州がビットコイン(BTC)などの仮想通貨に公的資金の最大10%を投資可能とする「SB-1025」にも拒否権を行使しています。
知事はSB-1025を拒否した理由として「仮想通貨は長期的実績が不十分であり、価格変動リスクの高い資産である」と懸念を示しました。特に退職年金などの重要な公的基金をこうしたリスク資産にさらすべきではないと判断しています。
同様の「ビットコイン準備金」構想は他州でも提案されていますが、これまでに少なくとも9州で拒否または廃案となっています。アリゾナ州は、こうしたビットコイン準備金の創設を阻止した全米で10番目の州となりました。
仮想通貨ATM法案は成立|詐欺被害抑止を強化
一方、仮想通貨ATMに関する詐欺対策法案「HB-2387」には署名し、法案を成立させました。この法案は、仮想通貨ATMに厳格な規制を導入し、詐欺被害の防止を強化する内容となっています。
新法のもとでは、仮想通貨ATMの運営事業者に対し具体的に以下のような対策が義務付けられます。
この法律は、高齢者を狙った仮想通貨詐欺事件の多発を背景に策定されました。
米連邦捜査局(FBI)の報告によれば、2023年にアリゾナ州内の仮想通貨詐欺による住民被害総額は約1億2,700万ドル(約1,900億円)に達し、特に60歳以上の高齢者が標的にされやすい状況が続いています。
アリゾナ州司法長官のクリス・メイズ氏も「追跡が困難な仮想通貨詐欺が急増している」と警鐘を鳴らしており、今回の新法成立により、消費者保護と詐欺被害抑止が大幅に強化される見通しです。
未請求仮想通貨をアリゾナ州が運用へ
ホッブス知事は今回の議会会期中に仮想通貨活用案に対して相次いで拒否権を行使しましたが、仮想通貨の適切な管理・規制自体には前向きな姿勢を示しています。
知事は5月7日付で下院法案HB-2749に署名し、州の未請求資産法を改正して仮想通貨を州がそのまま保有・運用できるようにする法律を成立させています。
この新法により、3年間取引のない休眠状態の仮想通貨は「放棄資産」として扱われ、州政府が現金化せずに原資産のまま保管・管理できるようになります。さらに必要に応じて、ステーキングなどの収益運用で活用できるようになります。
新たな予算投入なしで既存の仮想通貨資産を有効活用できるため、州財政に追加負担をかけることなく収益を生み出すことが主な狙いです。
この法律により、アリゾナ州は未請求の仮想通貨を法的に保持・運用できる全米初の州となりました。これはホッブス知事が「低リスク」と判断した仮想通貨活用案には積極的に対応する姿勢を示しています。
ホッブス知事の一連の政策判断は「未検証の仮想通貨に新たな公的資金を投入するリスクは回避しつつ、既存の仮想通貨資産を活用する規制整備には積極的に取り組む」という、バランスの取れた実務的アプローチとして州内外から一定の評価を集めています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.06円)
Source:拒否権発動書簡
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像